[報告]12月20日(日)リブインピース@カフェ
「敵との交戦で死傷者の発生を想定
──防衛省が検討し始めた「軍事作戦としての救護態勢」

  12月20日(日)リブインピース@カフェ 「敵との交戦で死傷者の発生を想定  ──防衛省が検討し始めた「軍事作戦としての救護態勢」」を行いました。
 戦争法案をめぐる国会答弁で 安倍首相らは「自衛隊員のリスクが高まらない」などと繰り返していましたが、実際には戦争法に基づいて海外派兵された自衛官が戦場で死亡した場合、弔慰金(賞恤(じゆつ)金)を9000万円に増額することや、海外での戦闘で負傷者が発生することを想定して「第一線救護」=戦場救護態勢の構築を急いでいるのです。

 2013年12月に出された『防衛大綱』ではじめて「医官・看護師・救急救命士等の確保・育成を一層重視する」「第一線の救護能力の向上や統合機能の充実の観点」などが強調され、半年後の2014年7月集団的自衛権行使容認閣議決定、2015年9月戦争法(平和安全法制)成立、2016年3月戦争法施行と戦争する国づくりが急ピッチで進んでいることが分かります。
 カフェでは『防衛大綱』と同時に出版された『防衛看護学』で“軍事作戦としての救護態勢”“救護の目的は、隊員を戦闘に復帰させること”“一般市民や敵国兵士は医療ケアの対象外”など、通常の感覚からかけ離れた「戦時救護」の心構えが報告され、驚きの声が上がりました。

 有識者会議「防衛省・自衛隊の第一線救護における適確な救命に関する検討会」は、米の侵略戦争であるベトナム・イラク・アフガニスタン戦争を例に戦傷者救命率の上昇を教訓にして、自衛隊の医療・救護活動を学ぼうというものです。そこでは公然と、戦場、連隊収容所、旅団収容所、野戦病院など、イラク戦争型の戦場体験が想定されています。そして大きな目玉が、准看護師・救急救命士の資格をもつ衛生隊員を第一線救護員として育成し、気管切開・外科的気道確保など医師にしか認められていない施術が行うことが出来るようにするなど、「防衛省コンバット・メディカルコントロール体制(仮)」を構築しようとしていることでした。
 カフェに参加した医療関係者から、“准看護師が気管切開するなど信じられない。戦場で瀕死の状態にある負傷者に「命が助かればもうけもの」くらいの感覚でとにかく出来ることはなんでもやらせるということではないか”という感想もありました。

 戦闘と救護態勢は補完しあうものであり、仮に自衛隊が戦闘をしなくとも、多国軍への医療活動なども「後方支援」の重要な一つです。
 実態をしれば知るほど、明らかな憲法違反であることが明らかになります。

 カフェの後半では、辺野古基地問題について報告・議論しました。12月2日、辺野古新基地建設に関して、国が沖縄県の権限を取り上げるために提訴した異例の代執行訴訟の第一回口頭弁論が福岡高裁那覇支部で行われ、翁長知事が陳述しました。また翁長知事による辺野古基地建設承認取り消しの効力を停止した国土交通省の決定に対して1月中にも効力復活提訴を目指しています。12月15日には「辺野古基地をつくらせないオール沖縄会議」が発足(共同代表に稲嶺名護市長、高里鈴代・島ぐるみ会議共同代表、呉屋守将金秀グループ会長の3氏が就任)し、沖縄戦の悲劇を忘れず、新基地反対の大衆闘争を県民一丸となって闘うことをアピールしています。
 12/2の翁長氏の陳述書を紹介し、基地に反対する沖縄の人々の思いを伝え、「本土」で辺野古基地建設反対の世論を拡大していくことを確認しました。

2015年12月23日
リブ・イン・ピース☆9+25


当日の報告
 敵との交戦で死傷者の発生を想定──防衛省が検討し始めた「軍事作戦としての救護態勢」
 『防衛看護学』について
 有識者会議「防衛省・自衛隊の第一線救護における適確な救命に関する検討会」報告について
 12/2翁長雄志知事陳述のポイント