話し合っただけで捕まってしまう
危険な『共謀罪』法

■「共謀罪」法が過去3度も廃案になったのはなぜ?
 
こんなメールのやりとりも
暴行や傷害の共謀罪で
捕まる危険が!?
 2名以上の者が「計画」すれば、実際に行動に移さなくても逮捕し処罰できるという「共謀罪」法。過去3度国会に提出され、いずれも野党と国民の強い反対によって廃案になりました。
 それは、「あいつ一回しばいたろか」「あんな会社つぶしたる」などと居酒屋などで盛り上がっただけで、暴行や器物破損・家屋損壊などを計画したとして逮捕される危険があるということが大問題になったからです。
 既遂(罪を犯すか具体的に計画に着手してはじめて罰せられる)が原則である日本の法体系を根本的にかえてしまうとして日本弁護士連合会も猛反対したのです。

■『テロ等準備罪』に名前を変えても中身は同じ
 政府は『テロ等準備罪』に名前をかえ、一般の人々や団体は対象ではない、「組織的犯罪集団」のテロ行為の準備などが対象だとして、今国会に法案を提出する準備をしています。
 ところが、「職場の待遇改善のために労働組合が団交の計画を議論する」「健康に悪いと思う食品を買わないよう友人同士で情報を共有する」といったことも、恐喝や威力業務妨害を準備したということで罪に問われる懸念が出されています。
 話し合うだけでなく準備行為をしなければ罪に問わないと安倍首相は言っていますが同じことです。「ATMでお金を引き出す」「靴を履く」「自転車に乗る」も犯罪の準備に着手した見なされれば終わりです。

■「一般の市民」「普通の団体」も処罰対象に
 政府はこれまで、「一般の市民は対象にならない」と言ってきましたが、法務省が16日に出した文書で、“団体の性格が一変した場合、一般の市民、普通の団体も処罰対象になる”との見解を出しました。
 「普通の団体」が「組織的犯罪集団」になった場合という意味ですが、団交を議論する労働組合や政府や企業のことを批判する市民団体や友人同士を「組織的犯罪集団」だと決めつけたら「テロ等準備罪」に問うことができるようになります。

■日常的な監視が強まる
 安倍政権のウソ
ウソ1 「今のままではオリンピックは開けない」
→共謀罪法は、オリンピックのためではない。開催が決まる10年以上前から計画されていた。
ウソ2 「テロの準備を防げない」
→爆発物、ハイジャック、化学薬品テロなどの凶悪犯罪は「準備」で逮捕できる法律がすでにある。
ウソ3 「国際組織犯罪防止条約に加盟できない」
→この条約はテロ対策のためではない。条約と共謀罪とは全く関係ない。
ウソ4 「共謀罪は一般市民を対象としていない」
→いつ「犯罪集団」に一変するか分からないので、市民団体・サークルなどをたえず監視。
 現在の法律では警察は通常犯罪が起こってから捜査を開始しますが、“話し合い、準備に着手した段階で”逮捕するためには、絶えず国民を監視し盗聴・盗撮などをし続けなければなりません。そうしなければ、だれが、いつ、どこで計画を企てているかはわからないからです。だれもがメールとか会話とか行動が見張られていきます。
 「私は犯罪集団に参加していないから平気」「悪いことをしていないから大丈夫」とたいていの人が自分とは関係がないと思っているはずです。ところが「犯罪集団」と決めるのは警察や公安です。「普通の団体」「一般市民」を対象に、不審なことがないか見張り続けることになります。監視の目が強まり、自由にものも言えなくなるおそれがあるのです。

■目的は政府に批判的な声を抑えつけること
 法律の目的は政府に批判的な声を監視し、押しつぶすことです。憲法違反の「安保法制=戦争法」を廃案にと要求した国会デモに対して、安倍政権は「テロと同じ」だと見なしていました。
 原発と放射能から命を守る市民運動、労働者の権利を要求する運動、社会的不正を正していく行動、自然保護と健康を守るための運動、沖縄の辺野古・高江の森に新たな基地を造らせない沖縄県民ぐるみの闘争などに安倍政権はいかなる態度をとってきたのかをみれば、この法律の向かう矛先はうかがい知れます。
 共謀罪法と似ていると言われる戦前の治安維持法は、文学や芸術、言論活動、出版や報道なども含めて規制し、共産主義者にとどまらず民主主義者・自由主義者・宗教者・平和主義者など政府にとって危険と思った人々や団体をことごとく弾圧しました。二度と同じ道を歩んではなりません。
 共謀罪法に反対しましょう。

2017年2月21日
リブ・イン・ピース☆9+25
(2月21日の京橋駅チラシまきアピール行動で配布したチラシより)


[講演会]
話し合っただけで捕まる!?
共謀罪法の危険

谷次郎弁護士(大阪弁護士会)

4月16日(日) 13:30〜16:30
西成区民センター  <地図>