講演会開催にあたって
12/11講演会 「自民党が狙う「緊急事態条項」の危険」

 秋の臨時国会では衆院で2回、参院で1回憲法審査会が開催されました。改憲項目絞り込みと国民投票法準備のための憲法審査会そのものが危険です。自民党は、野党を審議に引きずり込んで改憲条項の同意を得る柔軟方針をとっていますが、2012年に出した「改正草案」を決して撤回しようとはしていません。私たちは国会外の改憲反対の声を強め、野党に対して改憲条項設定の審議に応じないこと、改憲の土俵に乗らないことを要求していく必要があります。

 安倍政権は現在、立憲主義や人権、議会制民主主義を無視して暴走する異常事態に陥っています。戦争法に基づくPKO駆け付け警護閣議決定と南スーダン自衛隊派遣強行、カジノ法案衆院本会議強行採決、TPP協定承認強行成立、年金カット法案、原発再稼働等々。何よりも沖縄では、高江ヘリパッド強行建設のため、「本土」機動隊動員、「土人」発言と「沖縄差別」・暴力・弾圧、不当逮捕・家宅捜索などをやりたい放題で、12月22日の「返還」式典を強行しようとしています。

 そして安倍首相は、早々とトランプ次期大統領詣でを行い、真珠湾訪問、配偶者控除拡大や給付型奨学金などをちらつかせて、経済破綻が明確になり支持率が下がらないうちに、年明け早々にも解散総選挙をするというシナリオが浮上しています。安倍首相はすでに自民党総裁任期延長によって2021年9月までの5年間で宿願の改憲を強行する条件を手に入れています。加えてカジノ法と大阪万博で維新をまき込み、「改憲勢力」の結集に着々と手を打っています。

 改憲の本丸である9条改悪にむけて、「押しつけ憲法」論や「憲法は古い」論などでさまざまな世論操作を行い、第一段階として緊急事態条項や「新しい人権」で先行改憲を強行する危険があります。安倍政権の改憲キャンペーンに打ち勝っていかなければなりません。

 今日本は改憲どころではありません。グローバル経済のもと、世界中で格差と貧困化が進み、巨万の富を持った一部の人々と衣食住さえままならない大量の人々が「先進国」でも生み出されています。日本でも特に雇用情勢の悪化とともに子どもの貧困が深刻化し、一人親家庭、若者や高齢者の貧困と生活困難、将来不安が高まっています。これまで曲がりなりにも保障されていた憲法のさまざまな権利が奪われているのです。安倍首相のいう「世界で一番企業が活躍しやすい国」とは、排除や差別が蔓延し、グローバル資本と戦争協力のために人権を踏みにじる国でしかありせん。改めて私たちは、いま議論すべきは改憲の是非ではなく、憲法に明記された権利を保障していくことだと強く主張します。

 私たちは憲法問題で10月2日に「憲法の根本原理(もっとも大切なもの)が人権から国家秩序に変更されてしまう」ことをテーマにした座談会を開催しました。2回目の今回は、人権剥奪、憲法停止のきわめて危険な内容をもつ「緊急事態条項」について講演をしていただきます。立憲主義や議会制民主主義さえ無視する傲慢な安倍政権が、首相に全権を与えるような改憲条項を手に入れたら大変なことになります。講演と議論でその危険性の理解を深め、広く改憲の危険を訴えていくきっかけにしたいと思います。

2016年12月11日
リブ・イン・ピース☆9+25