対中武力行使の高市発言糾弾、ベネズエラに手を出すなを確認した
11・16「南京スタディーツアー参加の報告会」

 11月16日にリブ・イン・ピース主催で「南京スタディーツアー参加の報告会」が開かれ、参加者は熱心に報告を聞き、議論や意見を述べ、活発な会になりました。

 この会はリブ・イン・ピースの会員が南京60カ年実行委員会大阪主催の「南京スタディーツアー」に参加し、その報告を行なうものでした。しかし、折から高市首相が「台湾有事=存立危機事態」でその時は「対中武力行使する」という挑発的な発言をし、そのことがまず報告の初めに取り上げられました。高市首相は中国側の厳しい追及を受けても謝罪も撤回もせず、日中間の緊張が高まる最中でしたが、この発言自体が南京大虐殺の加害責任に向き合い、歴史の真実を心に刻み、再び戦争を仕掛けないというツアーの趣旨に根本的に敵対し、日本の側から戦争の危険を高めるものであったから厳しく批判されました。

 報告者は高市発言が歴史的な一線を越えるものであること、歴史上初めて中国に対して戦争を仕掛けると公言する内容であり、これまで日中間で確認され両国の協力関係の根本をなした「中国は一つ」「台湾は中国の一部」を否定するもので、日中協力関係を根底から破壊するものだと指摘し、高市は発言を撤回するか、辞任するしかないと述べました。

 報告者は抗日戦争勝利80年の年に行なわれたスタディーツアーが非常に有意義であったことを主催者の南京60カ年実行委員会大阪に感謝し、初めての南京訪問だったが非常に有意義であったと話しました。紫金山の麓のトーチカ陣地とそれを調査した費先生が南京虐殺が12月13日(陥落の日)ではなく12月5日にはすでに周辺で村人の集団虐殺として始まっていたこと、南京城の多くの城門を見て日本軍による同時攻撃と中国軍(蒋介石軍)の撤退と崩壊、兵士と市民の城内への避難とパニックが発生したこと、城内から大量の投降した兵士が連行され城周辺や長江沿岸で数千人単位で虐殺され、長江に流されたこと、城内の非常に多数の市民も同様に日本軍に連行され虐殺されたこと等を現地に立って、また数多くの虐殺と集団埋葬の紀念碑を見て回って実際に起こったことが認識できたと報告しました。そして多数の虐殺、集団埋葬紀念碑が今も当時中国が弱かったため列強と日本の侵略を受けたこと、その後国力を増強させ、もう侵略されないような国を目指そうという趣旨の教育の材料として大切にされていることを感じたこと、同様に南京城内では国際安全区と呼ばれる地区で25万人にも及ぶ市民、特に女性や子どもを保護した人々と施設を紀念と歴史の証人として保護していることにも感動したと話しました。

 今回のスタディーツアーを企画し、これまで長年にわたって中国との交流をしてきた参加者は、今回のツアーの時期が微妙で、9・18の翌日からの日程、10月1日からの国慶節の直前であり、緊張が高まる時期でいろいろ影響をうけたこと、ただ、中国側はトラブルが起きないようにツアーに配慮をしてくれたこと、昔と比べてラーベの旧居や利済巷の施設は整備されてきれいになりすぎたきらいがあるが、対照的に日本にはこのような歴史を学ぶ施設がないとはなした。別の方は、12月13日に中国から証言者を招いて証言集会をする予定だが高市問題が悪影響を及ぼさないか心配だ、同じことを繰り返さないためには歴史を学ぶことが重要だが、状況を悪化させているのは全部日本側だと話しました。

米国はベネズエラに戦争を仕掛けるな Hands off Venezuela!
 報告会の後半では、米国が世界最大の空母フォードを欧州からカリブ海に移動させ、ベネズエラに対する戦争態勢に入ったことを受けて急遽この問題が取り上げられました。
 日本ではこの問題があまり取り上げられず、知られていないけれど米軍は空母やイージス艦(8隻)、原潜2隻、強襲揚陸艦3隻など日本を基地にする第7艦隊を上回る大兵力をカリブ海に結集させ、今にも戦争を仕掛けかねない危険な状況にあることが報告されました。さらにトランプ大統領がCIAに特殊作戦を命令し、戦争を起こすための「偽旗作戦未遂」、マドゥーロ大統領誘拐未遂や電力網破壊を行なっていることが話されました。トランプ政権が連続3日間ベネズエラ問題を巡って会議をし、カリブ海の艦隊がベネズエラにごく近いトリニダード・トバゴ付近で5日間の演習を始めているなど、戦争をめぐる情勢は切迫している、今こそ世界中から声をあげようと米国の反戦運動は11月15日から23日までをベネズエラ連帯デーにしていることを受けて、集会参加者一同が賛同して下のアピールを確認し報告会を終えました。

2025年11月17日
リブ・イン・ピース☆9+25


アピール
トランプはベネズエラに戦争を仕掛けるな!
空母・艦隊・強襲部隊等を直ちに撤退させろ!

<PDFファイル>

 米国がベネズエラに戦争を仕掛ける危険が切迫しています。ヘグセス戦争大臣は世界最大の空母フォードを欧州からカリブ海に移動させました。欧州の空母をゼロにしてまでフォードをカリブに送り込んだのは、ベネズエラ開戦を考えているとしか思えません。米国はこれまで21隻のボートを爆破し80人を殺害しましたが、本命はベネズエラ・マドゥーロ政権打倒です。現にトランプ大統領は何度も「次は地上作戦だ」と言っています。
 米軍はカリブ海に空母1隻、イージス艦7隻、原子力潜水艦2隻、強襲揚陸艦3隻、海兵隊2200人、B1やB52など爆撃機やF35戦闘機などを大兵力動員し、ベネズエラ侵攻の態勢をとっています。これは日本にいる米艦隊の規模を上回ります。米国は攻撃目標のリストを作っています。ベネズエラのマドゥーロ大統領に対する暗殺(馘首)攻撃をはじめ、ベネズエラを侵略する危険性が高まっています。私たちは、米国がベネズエラに戦争を仕掛けることに断固反対です。
 10月15日にトランプ大統領はCIAにベネズエラに対する特殊作戦を命じました。ベネズエラの不安定化や開戦の口実つくりが目的です。すでにマドゥーロ大統領誘拐未遂事件やトリニダードトバゴに停泊する米イージス艦を攻撃してベネズエラ政府のせいする「偽旗作戦」未遂を起こしています。
 米国はボート破壊が麻薬密輸と関係する証拠を何一つ示していません。国連はこの攻撃を超法規的処刑と呼んで非難しています。トランプ大統領はマドゥーロ大統領が麻薬密輸組織のボスだと決めつけますが、全くのデマです。国連はベネズエラをキューバと並ぶ麻薬対策の優等生と評価しています。私たちは世界最大の埋蔵量の石油資源を狙ってベネズエラ政権打倒をもくろむトランプ政権をカリブの平和を破壊、国際秩序を破壊するものとして強く非難します。
 ベネズエラ政府は防衛のために国軍の体制を強化すると共に、国民に防衛のために民兵に志願するよう呼びかけています。800万人が民兵に志願し、全国のコムーナ(コミューン)がこれを支えています。簡単には侵攻を許さない体制を作っています。結束して国を守ろうとするベネズエラの人民と政府を強く支持します。
 ハンズ・オフ・ベネズエラ! 世界中からベネズエラに手を出すなの声が広がっています。この不当極まりない侵略を許してはなりません。私たちも声を合わせて要求します。トランプはベネズエラを攻撃するな!ベネズエラから手を引け!カリブ海から空母、艦隊、特殊部隊を撤退させろ。

2025年11月16日
    リブインピース主催 南京スタディーツアー参加報告会 参加者一同