「中国悪玉論――それって本当?」 事実に基づいて真実を見極めよう
2/28 リブ・イン・ピース☆9+25 第3回オンライン・カフェ報告

 リブ・イン・ピース☆9+25主催の3度目のオンライン・カフェが30人以上の参加で開かれました。
 テーマは「中国悪玉論――それって本当?」で、リブインピースの会員から3つの報告が行われました。

 初めの報告は、中国は新型コロナの情報を隠している、新型コロナは中国の研究所から漏れた、などさまざまな中国非難の宣伝が氾濫していますが、それが本当なのか事実と科学に基づいて確かめてみようというものでした。
 1月に中国・武漢にWHOの調査団が入りましたが、プロパガンダがいうような隠蔽の証拠はありませんでした。ウイルスが武漢の研究所から漏れ出たという説についても、WHO調査団は研究所を訪問し調査した結果、可能性はほとんどない、今後調査の必要もないと結論を出しました。
 報告では、米国は研究所が雲南のコウモリから見つけたRaTG13というウイルスが研究所で人に感染して、武漢に広がり新型コロナになったかのように言うが、学問的にはRaTG13との分岐は50年くらい前で、直接の原因にはなりえないこと、多分コウモリが宿主で、何らかの中間宿主からヒトに感染したのだろうが、その発生は突然のもので天災であり、発生国には何の責任もないということが、説明されました。また、発生後の中国の対応もきわめて迅速で、世界への情報発信を速やかに行っており、それでも世界中にパンデミックが広がりましたが、それは中国の情報隠ぺいと怠慢の結果ではなく、特に米国での蔓延はトランプ前大統領に責任があると言えます。
 米国による新型コロナ問題での中国批判について、根拠が全然ないにもかかわらず執拗に繰り返すのは、トランプ前大統領が国内のコロナ対策の失敗で批判を浴びたので、その失敗を隠し、責任を逃れるためです。もう一つの要因として、米国が中国政府に対し「新冷戦」政策をとっており、かって冷戦下でソ連にしたように、相手を悪者に見せることが必要だったのだということでした。

 2つめの報告は、中国の「ゼロコロナ」政策で大活躍している都市住民の基層的自治組織「社区」・「居民委員会」についてです。
 中国では大量のPCR検査、徹底した隔離療養、大規模な消毒、「モノ」から「ヒト」への感染の撲滅等と徹底したコロナ感染に対する防疫対策が取られていることは知られるようになってきました。しかし、この感染対策を住民の中で下から支え、最も重要な役割を果たしているのが「社区」や「居民委員会」であることはあまり知られていません。「社区」・「居民委員会」によって社区住民全員のPCR検査の日時と場所を決定し、個人への通知、検査に行けない場合の再設定、検査会場に行けない人の送り迎え、家から出られない人への検査員の手配がされています。武漢の都市封鎖の中で住民に食料や物資を配り、医者に連れて行くなど住民を支えた中心もこの組織でした。
 「社区」・「居民委員会」は住民の選挙で選ばれた専従スタッフで、いろんな相談が持ち込まれ住民自身で話し合って決めたりするということでした。うらやましいことです。

 最後の報告は、モンゴル語の使用が禁止される、新疆ウイグルで大量殺害が行われている等々、米国などが言っていることは実際はどうなのか?でした。
 「モンゴル語の使用禁止」というのは西側メディアの悪意あるウソです。実際には、内モンゴル自治区ですでに高学年から行われていた公用語(北京語)教育を小学1年生と中学1年生からの学習に導入するというもので、モンゴル語教育は継続されています。たしかに一時「モンゴル語使用禁止」が煽られたことで保護者や子ども達の反対運動にまで発展する事態となりましたが、後に住民向けの説明会がなされ 9月の新学期には新しいカリキュラムで学習過程が始まっているとのことでした。
 中国は多民族(漢民族+55の少数民族)で構成され、言語は70、文字は30もあると言われています。そして事実として民族差別や経済格差も残っています。特に辺境の地は貧しく、公用語ができないと就職だけでなく、都市部の大学進学でも不利になることがあること。中国政府が公用語教育政策に力を入れるのはこれらの問題を克服するためです。
 次にウイグルで100万人に及ぶ大量虐殺が行われているという報道を取り上げました。新疆ウイグル地区の二大都市で人口増加率が 84%減少したという中国統計局の調査を利用したデマ宣伝です。現実は、少数民族には従来一人っ子政策が適用されておらず、人口は増加していましたが、中国全体で一人っ子政策が停止され代わりの政策(都市部では2人、農村部では3人)が少数民族にも適用されることになったというものです。その結果、少数民族で人口の増加率が減少(人口の減少ではない)したというものでした。
 最後にこういった報道は、ごく少数の中国を非難する作り話やねつ造情報を世界に発信する個人やサイトに依拠したもので、最近は米日でも対中対決姿勢の政府に忖度したメディアが検証なしに垂れ流しているものです。メディアの情報を鵜呑みにしない、本当にそうかと、立ち止まって考えることの大事さを感じました。

報告1 「 コロナの情報を隠してる? コロナは研究所から漏れた? 」
報告3 「新疆ウイグル、内モンゴルなどで、少数民族を抑圧してるの?」

2021年3月8日
リブ・イン・ピース☆9+25

※リブ・イン・ピース☆9+25のホームページで、シリーズ「新冷戦」に反対するを連載中です。