高市首相は、「台湾有事は存立危機事態」発言を撤回せよ
対中戦争挑発、内政干渉をやめろ

 高市首相の「台湾有事は存立危機事態」との答弁は、中国に対して戦争する意思を宣言するものだ。絶対に許されない。日本の現役の首相が、国会の場で、「台湾有事」で自衛隊が出動し武力行使を行う企図を表明したのは初めてだ。従来の見解から明らかに一線を越えている。断固糾弾する。

 高市首相は、11月7日の衆院予算委員会で「中国軍が台湾への海上封鎖を軍艦で行い、それを解くために米軍が来援すれば、(中国軍による米軍への)武力行使も想定される」とし、「武力攻撃が発生したら、これは存立危機事態にあたる可能性が高い」と述べ、集団的自衛権の行使に言及したのだ。

 これは単なる高市首相の思い付きではない。米政府は「27年台湾有事」をあおり対中軍事挑発の柱としている。これを受け防衛省や外務省のシンクタンクが行う「台湾有事」を想定した演習やシミュレーションにおいて、中国軍による海上封鎖、米軍の出動、中国軍による反撃、日本の自衛隊の出動というのは、最有力のシナリオだ。すなわち、高市首相の「存立危機事態」発言は、日本政府と防衛省・自衛隊中枢が実際に検討している対中武力行使、対中宣戦布告の計画を吐露したものに他ならない。高市政権は、「主体的な防衛力強化」をトランプ大統領に約束し、軍事費倍増計画を前倒しし、北京をも射程に入れた長距離ミサイルを大量に配備し、対中戦争準備態勢を急速に整えつつある。

 高市首相の発言に対して、中国政府が厳しい批判と不快感をあらわしたのは当然だ。先月の31日には、高市首相は習近平国家主席と握手を交わし、互いを「重要な隣国」とし、主張や立場の違いはあっても建設的で安定的な関係を築く「戦略的互恵関係」を確認したばかりだ。それから一週間しかたっていない。中国と習主席を侮辱し貶めるものだ。SNSにおいて厳しい表現で反撃した薛剣大阪総領事の投稿に対して「外交儀礼を無視」「不適切」などと批判が加えられているが、外交儀礼を無視して常軌を逸した言動をしているのは、日本政府と高市首相のほうだ。中国政府は公式に高市発言を「悪質な発言で中国への粗暴な内政干渉だ」などと厳しく非難し、発言の撤回と反省を強く求めている。

 中国にとって「台湾問題」は「核心的利益」である。台湾は中国の一地域だ。この認識は日中平和友好条約はじめ4つの基本文書の土台にある。このことを否定することは、現在の日中関係を根底から覆すことだ。中国政府は一貫して「両岸の平和的統一」を目指している。ありもしない「台湾有事」をあおり介入を企てることは内政干渉であり、東アジアでの軍事的緊張を高めるものだ。かつて日本軍国主義は、「自衛」の名のもとに「9.18事変」(満州事変)を引き起こして満州国をでっち上げ、中国侵略戦争へと突き進んでいった。日本は台湾を日清戦争で略奪し、50年間植民地として抑圧した。この問題で口を出す資格などない。天皇制軍国主義は、中国人民の激しい抗日闘争によって敗北させられた。「存立危機」「自衛」「生命線」等は、これまで何度も侵略の意図を隠すために使われてきた。かつての植民地支配と侵略戦争の事実に向き合い反省するどころか、「台湾有事」への日本の軍事介入を企図することは、再び日中戦争の過ちを繰り返すことだ。

 「台湾有事」を引き起こそうとしているのは、中国ではなく米国と日本のほうだ。高市首相は、「台湾有事は存立事態」発言を今すぐ撤回すべきだ。日本政府は「台湾問題」への内政干渉をやめるべきだ。対中戦争準備をやめ、日中平和友好へと転換せよ。

2025年11月16日
リブ・イン・ピース☆9+25