[シリーズ]沖縄にも、大阪にも、どこにも米軍基地はいらない
先送りではなく、普天間閉鎖と辺野古白紙撤回の決定を!

はじめに
 鳩山政権は15日、「普天間移設問題」の先送りを決定しました。絶えず「年内決着」への動揺を繰り返しながらも、沖縄の人々の強い怒りと県内外の反基地運動、過半数が「現行通り反対」「県外移設」という国内世論の前に、そして何よりも自民党政治を葬り去り政権交代を実現させた国内の政治的力関係を無視することはできず、先送りをせざるを得なくなったのです。
 私たちは、辺野古新基地建設が盛り込まれた「日米合意」が不動のものでも変更不可能なものでもなく、世論と運動の力によって廃棄することが出来るものと確信することができます。鳩山首相は「辺野古以外の模索」を表明しています。米海兵隊のグアム全面移転計画を暴露した伊波宜野湾市長は、今回の決定について、移設先については「本当に国内に海兵隊の居場所を造る必要があるのか検証する必要がある。わたしは必要ないと思っている」と国内新基地建設拒否の姿勢を明らかにしました。
国民世論「県外」多数 普天間移設全国紙など調査 「合意見直し」も(沖縄タイムス)
県民世論調査、県外・国外移設70% 「辺野古」反対67%(琉球新報)

 しかしながら、現行計画に基づく移設関連費用(288億円)の2010年度予算計上は見送られたものの、「移設先決定の場合」は関連経費を予備費から支出する方針が決定されました。辺野古新基地も断念したわけではありません。何よりも、「世界一危険な」普天間基地はそのままであり、沖縄の人々は絶えず命と健康、生活の危険にさらされ続けています。
 一方米国は、「ロードマップは最善の計画」(米国務省ケリー報道官 15日)などと、辺野古基地建設という現行案どおりの決着を迫る強硬姿勢をとり続けています。メディアは、「このままでは日米関係の悪化は避けられない」等と連日報じ、「鳩山政権をめぐる話題はワシントンではもはや笑い話のたぐいだ」(日本経済新聞12/16 『揺れる日米安保』(下))などと、米政権の意向を推し量って今回の決定を批判するというような卑屈な報道がなされています。沖縄の人々の基地被害への怒りと基地撤去の思いが笑い話だとでもいうのでしょうか。
 鳩山政権の「先送り」は、現時点では「代替地探し」でしかなく、「辺野古現行案の修正」から「県外移設」「県内移設」「国外移設」まで、幅広い選択肢を含みます。また鳩山首相は「日米合意」そのものを白紙撤回したわけでも、新基地の建設を断念したわけでもありません。
 鳩山政権が目指す「対等・平等の日米関係」を実行し、公約である「国外・最低でも県外移設」を貫くならば、「先送り」ではなく普天間基地閉鎖・撤去と辺野古新基地白紙撤回をいますぐ決断すべきです。鳩山政権が問われているのは、沖縄県民の意志と国内世論を真剣に受け止めることです。それは自らの軍事外交政策だけでなく、自民党政権が戦後60年以上に渡って作り上げてきた対米従属構造、日本政治のあり方をどうするのかということではないでしょうか。
 私たちはすでに、橋下知事の「関空誘致」発言を批判し、「沖縄にも、大阪にも、どこにも米軍基地はいらない」と主張しました。メディアも橋下知事も、辺野古を否定するなら「県外=国内移設」を差し出さねばならないかのように思いこませる世論誘導に躍起ですが、それは間違いです。日米安保と米軍基地の存在は米国が世界で戦争をするためのものであり、グアム移転を軸とする米軍再編は、従来の安保条約の枠組みさえ大きく踏み越え、米軍と自衛隊がグローバルな規模で軍事介入を行うための軍事同盟へと変質させようというものです。決して許されるものではありません。
[沖縄基地問題]沖縄にも、大阪にも、どこにも米軍基地はいらない!橋下大阪府知事の米軍基地「関空誘致」発言に抗議の声をあげよう!(リブ・イン・ピース☆9+25)

 私たちは、鳩山政権が「普天間先送り」決定をした今こそ、一層の世論と運動を強める必要があります。辺野古新基地建設でも「辺野古以外の県内」でも「県外」でもなく、代替地探しをやめ、今すぐ沖縄の人たちの願いに耳を傾け、普天間基地の閉鎖・撤去を行うよう要求するため、このシリーズを開始します。

2009年12月18日
リブ・イン・ピース☆9+25