[投稿]毒ガスの島、大久野島を訪ねて


 8月5〜6日、小学生の息子と二人で大阪から広島県の大久野島へ旅行。
 昨年8月末、つかの間の休みに大久野島を訪れてみようと一人ふらりと出かけたが、途中で豪雨のため電車がストップしてしまい、引き返すしかなかった。一年ぶりの再チャレンジである。

 大久野島はかつて国際条約に違反して秘密裏に毒ガス兵器をつくっていた島で、地図からも抹消されていた。中国での毒ガス兵器の使用と大量投棄された毒ガス兵器の処理が大問題となり、その製造所のあった大久野島も一時有名になった。そのころ、日本の毒ガス兵器についての書籍も数冊読み、大日本帝国の戦争犯罪について新たに認識を深めた。

 8月5日、朝9時前出発。青春18切符で5時間あまりかけて広島へ。路面電車で平和公園近くの旅館に着いたのは午後3時過ぎ。しばらく休憩してから平和公園と原爆ドーム付近を散策。翌日の準備が整えられ、若干の催しもおこなわれていたが、閑散としていた。夕食をとって、翌日の朝食のパンをコンビニで買って旅館へ戻る。(旅館は食事なしの素泊まりで二人で8400円。)二人とも疲れて夜9時過ぎには就寝。

 翌6日は朝8時過ぎに出発。平和公園の式典などを見学。縄を張って人々の移動経路を規制する機動隊が物々しい。平和を祈念する人々の中で、異質な存在として異様な雰囲気をかもし出している。それらを散見して、原爆ドーム前駅で路面電車に乗り、広島駅へ。そして今回の広島旅行の主目的地、大久野島へ。

 広島駅から呉線で2時間近くかけて忠海(ただのうみ)駅まで。単線なので対抗電車を待つ時間が何度もあって、単純な距離だけではない時間がかかる。忠海から船で大久野島へ。島の中央施設まで送迎バスがあり、ここに着いたのが12時半ごろ。レストランで昼食後、島めぐり。ここはリゾート施設がつくられていて「休暇村」となっている。一般車両は入れず、うさぎが放し飼いにされている。貸し自転車で周囲4.3kmの島をめぐる。

 カンカン照りの猛暑の中であったが、しばらくは気持ちのいいサイクリング。まずは毒ガスの貯蔵庫跡でひと休み。他にも自転車で見学する人がいた。その後、長い登り坂は自転車を押していくしかない。途中、砲台跡や発電所跡も見学。下り坂は楽々。日当たりの方向も変わって日陰が多くなり、いっそう快適。毒ガス資料館で休息を兼ねて少し長時間見学。事故によって毒ガスを浴びた従業員の写真は生々しい。毒ガス製造が知られてはならないということから被害は闇に葬られ、ひた隠しにされた。

 帰りの船の時間まで1時間あまり。子どもはプールで遊び、私はうさぎのいる原っぱでのんびりと過ごした。風光明媚なこの島と、かつて毒ガスがつくられていたということとの感覚の落差を感じながら。
 船で忠海に戻って、またひたすら青春18切符の旅。岡山で約1時間の待ち時間に夕食。各停で姫路までがかなり長かったが、姫路から新快速に乗った後は早かった。夜12時近くに帰宅。

2009年8月11日
リブ・イン・ピース☆9+25 大阪 H.Y.

(この記事は、リブ・イン・ピース☆9+25ブログにも掲載しています。)