2026年第1回リブ・イン・ピース連続カフェが、6月13日に阿倍野市民学習センターで開催されました。会場はほぼ満席となり、活発な質疑応答もおこなわれました。リブ・イン・ピースのこの間の取り組みとしては、ベネズエラ駐日大使の講演会、キューバへの支援活動、パレスチナ連帯の毎週のスタンディングなど、米国とイスラエルの侵略・戦争犯罪・ジェノサイドに抗する活動をおこなってきました。今回の企画では、日本で高市政権によって進められている策動の危険性を取り上げました。 また、6月28日 沖縄を再び戦場になせない大阪駅前スタンディングなどの行動が呼びかけられました。 第一部 「高市政権下で進む市民監視体制の構築 国家情報会議設置法・スパイ防止法の動向」(谷次郎弁護士) 5月27日、「国家情報会議設置法」が参議院で可決・成立した。この法律の危険性は、それによって設置される「国家情報会議」が、情報を集める要件・対象がきわめてあいまいであって、政府の思惑次第でどのような調査でも可能となり、市民を日常的に監視して政府批判を黙らせるための機関として機能することである。 衆院通過時には「無関係な情報収集」はおこなわないとする付帯決議がついたが、付帯決議には法的拘束力はない。 過去に「大垣警察署市民監視事件」という実例があった。これは平穏な市民運動を警察が日常的に監視し、個人情報を収集・漏洩していたという事件であった。(名古屋高裁で違法と断罪)。国家権力は、自らに都合の悪い市民を必ず「監視対象」にする。 国家情報会議のような強力な権限を持つ情報機関の活動は、秘密裏に行われるため常に人権侵害の危険を伴う。だからこそ諸外国では、情報機関に対する厳格な監視体制が不可欠とされている。米、英、独、仏などには、政府から独立した第三者や議会による強力な監視・監督規定があるが、日本の場合それがすっぽり抜け落ちている。高市首相は、この「国家情報会議」の成立を足掛かりに、次は「スパイ防止法」の制定を公言している。何が「スパイ行為」にあたるのかの境界線は曖昧であり、行政の恣意的な判断で「政府の政策に反対する市民」「秘密を暴くジャーナリストや法律家」が芋づる式に処罰される社会になりかねない。これにより、社会全体に強烈な萎縮効果が生まれる。 現在の高市政権は、国民の生活苦やインフレ、原油高を放置したまま、中国との戦争を想定した「戦争国家への改造」に突き進んでいる。情報監視体制の構築(国家情報会議・スパイ防止法)は、この戦争準備と完全に表裏一体である。 高市首相は来年にも改憲を目指している。その改憲の本質は、「国家を縛る憲法」から「国民を従わせる憲法」への逆転であり、天皇制軍国主義への先祖返りである。 法律が成立した今、私たちがなすべきことは、この国家情報会議の運用に対し、主権者たる市民が「独立した監視の目」を光らせることであり、そして、反高市・改憲反対・戦争反対の広範な運動をさらに広げ、高市政権にブレーキをかけていかなければならない。 第二部 「国旗等損壊罪」はこの社会に何をもたらすか (元教員・井前弘幸さん) 現在、自民党は「国旗の損壊等の処罰に関する法律案要綱」(以下、「国旗等損壊罪」)を法律案として国会に提出しようとしている。 そこでは「人に著しく不快又は嫌悪の情を催させるような方法により、公然と国旗を損壊し、除去し、又は汚損した者は、2年以下の拘禁刑又は20万円以下の罰金に処する。」と書かれている。この保護法益は、「国旗を大切に思う国民感情」だと抽象化されているが、保護の対象はそのような「国民感情」に支えられる「国家の威信」と「国家の秩序」である。 法案の核心は、「国家(政府)の尊厳」維持を刑法(刑罰) によって強制し、「国家」の価値が「個人の尊厳」に優先する価値であることを制度化することである。憲法は立憲主義(国家ではなく個人の自由と尊厳を守る)を原則としているが、この法案はそれと根本的に衝突している。
この法案で処罰できる内容は、定義不能で恣意的に拡張される。何が国家の尊厳を傷つけるかは権力側が自由に決められる。対象は戦前の治安維持法などがそうであったように無限に拡張可能できうる。個人の自由・尊厳と衝突する。国家の尊厳が法益化されると、国家の名のもとに個人の表現・思想が無制限に制限される方向へ力が働く。 報告者自身の身に最近こんなことが起こった。日の丸をかたどった赤い丸の中に高市首相の似顔絵を張り付け、彼女に「戦え!」というセリフを言わせたプラカードを身に着けて、反戦のスタンディング行動を行っていると、一人の人物がそれを見て「不快だ」と言ってきた。報告者が「国旗等損壊罪」が成立したら、こんなことで逮捕されると述べると、「逮捕されればいい」と言い捨てていったのである。 「国旗損壊罪」という「お墨付き」があれば、このような「日の丸警察」が跋扈することになるだろう。 国家の尊厳という概念は、個人の自由を制限し、国家主義的政策を正当化する装置となりうる。「国旗損壊罪」は、その装置を法制度に組み込む最初の一歩であり、治安維持法の歴史的教訓を踏まえれば、この法案の成立を断じて許してはならない。 特定空港港湾についての報告(今市さん) 2024年に始まった「特定利用空港・港湾」制度は、民間の公共インフラを自衛隊・海上保安庁が平時から優先利用できる枠組みとして、わずか2年足らずで全国57施設(24空港・33港湾)に拡大した。民間の施設を軍事に使用することは 住民を危険にさらす国際法違反である。日本も批准するジュネーブ条約では、軍事行動に実効的に供される施設を「軍事目標」と定め、攻撃対象となりうると規定する。民間インフラの軍事利用は「軍民分離の原則」に反し、周辺住民を攻撃リスクにさらす。 2026年3月、国は新たに関西国際空港・大阪国際空港(伊丹)・神戸空港の3空港と堺泉北港・姫路港を候補として提示し、年内にも指定をめざしている。 これに対して、6月5日、労働組合・市民団体25団体が大阪府(港湾・空港部局)へ指定反対を要請し、神戸や豊中など自治体議員間でも反対の連携が広がっている。 「公共・民間インフラの一切の軍事利用を許さない」声を関西から広げよう! 【当日資料】 ・高市政権下で進む市民監視体制の構築−国家情報会議設置法・スパイ防止法の動向」 ・「国旗等損壊罪」はこの社会に何をもたらすか ・「特定利用空港・港湾」制度 公共インフラの軍事拠点化を止めよう ・特定利用空港・港湾の指定に関する抗議および要請書 2026年6月16日 |
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