広範な住民監視と運動弾圧を狙う
重要土地規制法案を廃案に

目的は基地・原発等の周辺住民の監視と運動弾圧
 菅政権は、「重要土地規制法案」(重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案)の今国会での成立を強行する構えです。「デジタル監視法」(5/12強行成立)、「入管法改悪」等とともに菅政権の国民監視・運動弾圧・強権支配の法整備に他なりません。成立を絶対に許してはなりません。
 この法案は、自衛隊や米軍基地、原発などといった安保関連施設の周囲約1キロと、国境離島を個別に「注視区域」に指定し、所有者の個人情報などを収集することができるという恐るべき法案です。特に重要な施設は「特別注視区域」とし、さらに規制が強化され利用中止を命じることができます。重要施設の周辺に住む人、住もうとする人は日常的に監視され、勤務先、親戚関係、所属団体、銀行預金、交友関係、渡航履歴、思想信条に至るまで個人情報が際限なく収集されることを覚悟しなければなりません。「調査と規制等」に何が含まれるのかが極めて曖昧です。また調査に反対した場合は罰則があります。それだけでも著しい人権侵害です。
 さらに法案には「機能を阻害する土地等の利用の防止」とあり、政府が「機能を阻害する」と認定すれば、たとえば基地や弾薬庫の建設に反対したり、原発の建設や再稼働に反対するといった住民の運動は調査・規制の対象となり、監視が強化され、反対の意見表明や運動自体が禁止される危険性があるのです。

首都圏や、沖縄県全体へと際限なく対象が拡大される危険性
 しかも「重要施設等」や「土地等」に何が含まれるのかがあいまいです。際限なく拡大解釈が可能です。他の法律たとえばドローン規制法では、「重要施設」に国会議事堂、総理官邸、外国公館、防衛関係施設、空港、原子力関連施設が入っており、有事法制では、石油基地、病院、公共交通機関が入っています。自衛隊、米軍基地、原発だけではありません。あらゆる施設が対象となる危険性があります。政府の答弁でも「注視区域」は500カ所以上、「特別注視区域」は100数十カ所に登ります。原発再稼働反対の官邸デモ、国会前抗議行動なども規制の対象となってしまいます。また「国境離島」には、宮古島や石垣島、与那国島などが当てはまるとされますが、沖縄本島も含め沖縄県全体が国境離島として規制対象になる危険性さえ指摘されています。そうなれば、重要施設の周辺1キロどころではありません。首都圏全体、沖縄県全体、離島全体、米軍基地を抱える神奈川や岩国なども入ります。基地周辺で騒音被害やオスプレイの夜間飛行調査などの取り組みを地道にしてきた市民グループなども調査と規制の対象となってしまいます。

修正ではなく廃案に
 もともとこの法案は、日本の土地が中国や韓国の企業家などに買われそこが「反日行動」に利用されることを防ぐために提案したとされますが、そのような事実も可能性もありません。反基地運動や反原発運動を規制し、また広範に市民を監視・規制・情報収集することを目的としていることは明らかです。杉田水脈衆院議員は“反対の座り込みをする住民が食べる弁当のゴミが風で米軍基地内に入る可能性”を挙げ、不法占拠や道交法違反でなくても“弁当のゴミが基地機能を阻害する”可能性だけで法案を適用できることへの期待を表明しました。驚くべき発言ですが、これこそ、際限なく拡大解釈できるこの法案の危険性を表しています。政府は“重要施設への機材などの搬入や搬出を阻止する行為については・・・法案に基づく勧告、命令を行うことがある”としており、辺野古新基地反対運動を最大のターゲットの一つにしていることは間違いありません。
 立憲民主党は修正案を出し、調査を拒否した場合の罰則削除や「重要施設」の具体的明記を要求していますが、機能阻害行為に対する代執行による強制的な措置を設けるなど、基本的な点で人権侵害、反対運動への弾圧など法案の性格を容認しています。私たちは、修正案を受け入れることはできません。私たちは、即刻の廃案を要求します。

2021年5月24日
リブ・イン・ピース☆9+25

関連サイト
※(署名は終了しました)重要土地規制法案の廃案を求める署名活動(つながろう!ちば6区市民連合)
重要土地規制法案に関する緊急声明