ナセル病院に、拷問・虐殺された多数の遺体が埋まった集団墓地
イスラエルの戦争犯罪を徹底追及しよう

恐るべき戦争犯罪が発覚

 イスラエルによる恐るべき戦争犯罪が明らかになった。拷問や虐殺、生き埋めなどの跡がある多数の遺体が、イスラエル軍が包囲攻撃を加えたハンユニスのナセル病院で発見されたのだ。このような残虐行為は国際人道法に反しており、民間人や拘束された人、戦闘能力を失った人の殺害は明確な戦争犯罪だ。
 ガザの民間防衛隊、救助隊員とそれを支援する地元住民がナセル病院の敷地を掘り起こし、多数の腐乱した遺体が埋められているのを発見した。遺体の数は4月25日までで少なくとも392人に上っている。ガザの民間防衛隊は、イスラエル軍が病院で幾度も野外処刑を行ったと証言している。
「イスラエル軍によって数週間にわたって包囲されたガザ地区の病院の集団墓地で数百人の遺体が発見された」(Cradle ニュースデスク 2024年4月25日)

 集団墓地はナセル病院だけでも4か所あり、それ以外にもシファ病院などガザの十数か所に集団墓地があると言われている。このことは、今回発見された事件が偶然的な出来事ではなく、イスラエル軍による組織的な犯罪行為、軍の慣行であることを示している。
 ガザ地区では10月7日以降、3万4000人以上が殺害され、7万7000人以上が負傷し、1万3000人以上が行方不明になっている。多くの行方不明者がこのようなイスラエル軍による蛮行の犠牲となって埋まったままとなっているのは間違いない。
 遺体の損傷が激しく、58%は未だに正確に特定されていないという。肉親を捜すパレスチナの人々は、腐臭が立ち込め腐乱した遺体が折り重なる中を、行方不明者が当時着ていた衣服の色や柄だけをたよりに、白骨や肉片をより分けながら本人を特定する作業をしているという。あまりにもむごい光景だ。

集団墓地での弔問(ルワイダ・アメール 電子インティファーダ 2024 年 4 月 25 日)
ナセル病院の集団墓地:遺体が掘り起こされるガザ地区の苦痛と忍耐(MiddleEastEye マハ・フサイニ 2024年4月25日)
 ――ナセル病院では毎日数十人の遺体が掘り起こされている。
    行方不明のパレスチナ人の母親たちは、息子がその中にいる兆候がないか、顔、歯、衣服をチェックする

「ハマス掃討作戦」の実態は、パレスチナ人の拷問と虐殺
 掘り起こされた複数の遺体は、両手をビニールテープでぐるぐる巻きに縛られたもの、手錠をかけられたもの、衣服をはぎ取られたものなど、明らかに拷問の跡があった。医療用カテーテルが身体に挿入されたり、手足に添え木がされたままなど、病人や負傷者が埋められた例もあった。目隠しをされたり、腹や胸が開かれ、頭を潰された殉教者の遺体も発見された。その幾人かは、生きたまま埋められたとみられている。多数の子どもたちの遺体も発見されている。戦車の踏み板やブルドーザーの車輪痕が残っていたものもあり、遺体の一部はゴミと混ざり合っていた。
「拷問の痕跡」−ナセル病院の集団墓地で392体の遺体が発見(PalestineChronicle 2024年4月25日)

 イスラエル軍は、「ハマス掃討作戦」との口実で、とりわけ病院を標的にして集中攻撃を加えてきた。その実態は、イスラエル軍が手あたり次第にパレスチナ人を捕まえては拘束・拷問・虐殺し、ブルドーザーで掘った穴の中にゴミのように捨てるという恐るべき作戦だったことになる。パレスチナ人を虫けらや家畜などと見なさなければ、このような蛮行を行うことは不可能だろう。そもそもハマスとはパレスチナ抵抗闘争そのものであり、ハマスとパレスチナ人の生活・抵抗闘争を切り離すことなどできない。「ハマス掃討」とはパレスチナ人を根絶やしにすることを意味する。

イスラエルの戦争犯罪を徹底追及しよう
 ガザの民間防衛隊は、国際刑事裁判所(ICC)に徹底した捜査をするよう要求した。国連人権高等弁務官事務所は、国際調査団による独立した透明性のある死因究明を要求している。イスラエルの戦争犯罪を徹底追及させなければならない。南アフリカ外務省はICCに対して国際法に照らして捜査と責任者の処罰を要求した。アル・シファ病院に続いてまたも虐殺、拷問を含む集団墓地が発見されたことは欧米政府にも無視できない衝撃を与えている。国連だけでなくEU、仏、独政府も集団墓地について独立した調査を求めている。
 米国も「危惧」を表明した。しかし、米をはじめこれら諸国はイスラエルを支持しており、何よりもパレスチナの人々を殺す武器を供給し続けている。危惧の表明とは裏腹に、自分自身がイスラエルの共犯者である。その証拠に、相次ぐICCへの捜査要求と世界中からの病院での虐殺を非難する声、さらには米国内で急速に広がる学生たちのキャンパス占拠運動の広がり、これらを背景にICCが逮捕状を出すかもしれないことに恐怖したネタニヤフは、米国にすがりついてICCの捜査と逮捕状発出を妨害させようとし、米国政府もICC捜査に反対した。茶番劇というほかない。ただ、イスラエル国内での人質を無視するネタニヤフに対する批判の強まりだけでなく、極右大臣が停戦するなら政権を崩壊させるとどう喝している。ネタニヤフの基盤はますます不安定になっており、国際的に追いつめることが重要になっている。

「米、ICCのイスラエル捜査支持せず」(4/30(火)AFP=時事)
「逮捕状阻止、米に懇願 ネタニヤフ氏懸念、報道」(4/30(火) 共同通信)
「イスラエル首相、米大統領に“SOS” ICC逮捕回避求め」(4/30(火) 毎日新聞)

 イスラエルが行っていることは、おぞましい大量虐殺であり、民族浄化のための皆殺し作戦でしかない。今回の残虐行為は衝撃的に報じられているが、イスラエルの蛮行の氷山の一角だ。ガザを攻撃し、幾十万もの人々を避難所に追いやり、食料・水・医薬品・生活物資の供給をストップさせ、餓死に追い込む作戦自体が大量虐殺だ。イスラエルは今すぐ攻撃をやめ、人道物資の搬入を全面的に認めよ。今すぐ侵略をやめ、停戦に応じよ。ラファへの地上侵攻をやめよ、イスラエル軍はガザから撤退せよ。

2024年4月29日
リブ・イン・ピース☆9+25