沖縄切り捨ての辺野古・最高裁判決糾弾!
岸田政権は直ちに辺野古の新基地建設を止めろ

 最高裁判所は9月4日、国土交通相が出した設計変更を承認するよう求める「是正指示」は違法な国の関与であり、取り消すことを求めていた沖縄県からの訴えを、弁論を開かないまま却下する判決を言い渡した。また、8月24日には知事の不承認を取り消す国交相「裁決」は無効だという県の訴訟も上告を退け門前払いした。

 今回の最高裁判決は、公有水面埋立法の承認要件が満たされていないことを県が具体的に示したにもかかわらず、それに対して何の判断も示さない悪質なものだった。県がこれまで主張し、問題にしてきた辺野古埋め立てをめぐる重要な論点を一切取り上げず、沖縄の民意を切り捨てたのだった。また判決は、地方自治法で国と地方は対等な協力関係にあることを無視し、国土交通大臣が裁決さえすれば知事が何も言えないことを容認した最悪なものだった。断じて許すことはできない。

 なぜ沖縄県は設計変更申請を不承認にしたのか。大浦湾側の海底に広がる軟弱地盤の改良工事は、工期、工法、工費などあらゆる面で計画の大幅な変更を伴う。その内容が問題だらけなのだ。米軍普天間飛行場の返還と危険性除去が大幅に遅れるだけでなく、環境への影響も懸念されるからだ。
 大浦湾側埋め立てには、今後経験のない規模の軟弱地盤工事が待ち受ける。完成のめども立たない。国の試算でも、軟弱地盤の工事に9年余り、事業完了まで約12年かかると認めている。その間、米軍は普天間基地を好き勝手に使用する。住民への被害は放置される。
 沖縄県民の民意は、辺野古の新基地建設に反対である。これ以上の沖縄の基地負担が許せないのだ。強権的に問答無用で基地を押し付けられていることが、沖縄への差別的対応が許せないのだ。
 沖縄基地の歴史的成り立ち、基地の過重負担の現実、中北部への基地の再編統合がもたらす新たな負担の発生等、司法が真摯に現実に向き合い、問題解決の糸口を見出すことを多くの県民は求めていた。

 だが、司法も沖縄の民意を切り捨てた。沖縄の人々は即座に抗議の行動を起こした。9月4日、辺野古のゲート前で座り込みをする市民は、最高裁に対する怒りを胸に「それでも諦めない」と声を上げた。9月5日、那覇市の県民広場で開かれた緊急県民集会(辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議主催)に700名が結集し、「これが民主主義か」「地方自治を踏みにじるな」「沖縄は不当判決に屈しない!!」「知事の不承認を支持する」と怒りの声を上げた。ヘリ基地反対協議会は大浦湾海域近くで海上集会を開いた。「海を破壊する暴挙を断じて許さない」「県は厳しい局面に立たされているが、知事には不承認の姿勢を貫いてほしい。私たちは絶対に諦めない」と語気を強めて訴えた。

 判決後、岸田政権は即座に動いた。9月8日、早くも大浦湾側の護岸新設工事の発注手続きを始めた。国の沖縄の民意を無視する強硬姿勢は一貫して変わらない。大浦湾側に投入する土砂の辺野古側への仮置き計画も強行している。
 名護市辺野古で造ろうとしている新基地は、「普天間の一日も早い危険性除去」のための普天間代替施設ではない。キャンプシュワブと合わせて飛行場・弾薬庫・軍港機能・上陸訓練を備えた日米軍事一体化の新基地なのだ。対中国戦争に備えた南西諸島の軍事化を支える多角的拠点として建設・運用するつもりだ。日本が戦争への道を突き進むのを止めよう。辺野古新基地建設に反対しよう。

 9月4日、玉城デニー沖縄県知事は、県庁で会見に臨んだ。終始険しい表情で、新基地建設の断念を国に求める姿勢をあらためて強調したが、今後の対応については「検討していく」と述べるにとどめている。厳しい判断に迫られている。事態は決して予断を許さない。
 沖縄平和市民連絡会、沖縄環境ネットワーク等県内13団体は、8月28日、知事に対して次の2点を求める要請書を提出している。
1.最高裁で敗訴が確定しても、設計変更申請を承認することなく、再度の不承認、又は、埋立承認を再撤回すること。2.事由を検討するために、2015年、翁長知事が埋立承認を取消した際のように、有識者による第3者委員会を設置すること。
 全国からも、辺野古土砂全協や国会包囲実行委等、多くの団体から知事への要請が相次いでいる。
 私たちも呼びかけに応えて玉城デニー知事へメッセージを送ろう。応援メッセージは「辺野古不承認を貫いてください」「玉城デニー沖縄県知事を応援しています」など。

送り先
 ファクス 098-866-2467  知事公室広報課「県民ご意見箱」宛
 メール kouhou@pref.okinawa.lg.jp

2023年9月10日
リブ・イン・ピース☆9+25