[リーフレット] 憲法って、とっても大事!
Q1 憲法と法律とはどう違うか?
A1 憲法は、権力を制限するための法です

 憲法は、国家権力が人々の人権を侵害しないように、また権利を保障するように、権力を制限するために存在する最高法規です。一般の法律は、国会の議決を経て制定された、集団における社会秩序を維持するために強制される規範であり、性格が全く違います。
※98条では、憲法の「条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない」として憲法の最高法規性を規定しています

 歴史上、憲法は君主の権力を制限するために作られました。
 憲法の最も古い例は「大憲章(マグナ・カルタ)」です。13世紀、戦争ばかりしていたイングランドのジョン王に対して、配下の貴族たちは、もうこれ以上、王の好き勝手にさせるわけにはいかないと考え、王の権力を制限する法(大憲章)を作って王に迫り、王はしぶしぶそれを認めました。

 この大憲章が示した「法の支配」(権力を「法」によって制限すること)は、「人の支配」(君主がやりたい放題に支配すること)と闘うために、17世紀の市民革命の合い言葉になりました。
 国家権力を法によって制限するという見地は、日本国憲法においても貫かれています。
 したがって、日本国憲法では憲法を守る義務のある人々が次のように明記されています。
天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」(第99条)
 憲法は権力を制限するためにあるのですから、権力に関わる地位にある人々がずらりと並んでいるのは当然のことです。逆に権力者の側から自分の権力を縛る憲法を変えよと言うのは、憲法の精神を逸脱しているといえるでしょう。
(自民党改憲案では下線が削除されています。下記解説参照)

自民党草案では
 自民党草案では、次の条文が新設されています。
 「全て国民は、この憲法を尊重しなければならない。」(自民党草案第102条)
まず国民こそが憲法を守るべきだというこの条文は、上に述べた憲法の基本的な性格を正反対にするものです。そして、国民の次にやっと公務員の憲法尊重義務が出てきますが、そこでは、「天皇又は摂政」が削除されています。つまり天皇は憲法を守らなくてもいいことになります。戦後昭和天皇が行った憲法違反の政治的行動などを考えれば、これはとても危険なことなのです。(Q6参照)


はじめに
Q1 憲法と法律とはどう違うか?
Q2 日本国憲法の根本にあるものは?
Q3 「公共の福祉に反しない」とは何に反しないこと?
Q4 権利と義務とはワンセット?
Q5 人権が認められるのは「国民」だけ?
Q6 国民主権と象徴天皇制は矛盾では?
Q7 憲法第9条が放棄したのは?
Q8 日本国憲法は押しつけ?
日本の自由民権運動と世界的な人権思想の流れの中で生み出された日本国憲法
日本国憲法と自民党改憲草案の比較

[参考]
自民党日本国憲法改正草案 Q&A(pdf)
大日本国憲法・日本国憲法・自民党憲法改正草案比較表(pdf)
自民党憲法草案の批判のために(リブ・イン・ピース☆9+25)