[リーフレット] 憲法って、とっても大事!
Q6 国民主権と象徴天皇制は矛盾では?
A6 国民主権にも、そして「法の下の平等」にも矛盾します

 国民主権は、憲法三大原則の柱のひとつですが、象徴天皇制は、国民主権に反し、「法の下の平等」(14条)に反する矛盾した存在です。

 大日本帝国憲法のもとで、天皇は「神聖にして侵すべからず」と軍の統帥権を含めた国家権力の全権=「天皇大権」 を握っていました。
 象徴天皇制は大日本帝国憲法のような絶対的権力を持った天皇とは違いますが、実際は決して象徴=単なるかざりとして存在したわけではありません。
建国記念の日制定(1966)、元号法制定(1979)、国旗国歌法制定(1999)など天皇と天皇制が社会に押しつけられてきました。マスメディアが天皇と天皇制を批判するのはタブーであり、教育現場には、天皇を称える「日の丸」「君が代」起立斉唱が教職員に押しつけられています。

天皇制維持のために何を犠牲にしてきた?
 天皇大権をもった昭和天皇は中国侵略戦争と日米開戦によってアジア太平洋地域の人々に甚大な犠牲を与えた責任だけでなく、東京大阪大空襲や沖縄戦、原爆投下によって日本にも大きな犠牲を与えた責任があります。天皇制護持の名のもとで国内に恐怖政治を敷き、物言えぬ社会をつくり、「大逆事件」(1911年)にみられるように多くの人々が犠牲になりました。
 1945年、敗戦受け入れ後も、昭和天皇は自ら延命を図り、米国への沖縄の提供や軍駐留を進めるなど主体的な役割(憲法で禁じられた政治行為)を担ってきました。
 また、普通選挙権から在日朝鮮・台湾人を排除したのは、彼らが天皇制廃止を主張することを恐れたためであるということが明らかになっています。

自民党草案では
 自民党草案では、 前文で「天皇を(いただ)く国家」として天皇制国家であることが明記されています。象徴天皇制では飽きたらず、もっと天皇を敬い、(たてまつ)る国家にしようとしています。
 自民党草案では1条から8条の天皇の章に、国旗・国歌の尊重義務が新設されています。つまり、国旗・国歌尊重義務は、天皇をたたえ尊重する義務ということなのです。
 また、これまで法律で定められていた元号についても、この天皇の章に新たに入れられています。
 さらに、自民党草案では、「第一項及び第二項に掲げるもののほか、天皇は、国又は地方自治体その他の公共団体が主催する式典への出席その他の公的な行為を行う」(第6条5)が新設され、これまで儀礼的国事行為に限られていた天皇の行為が拡大されています。
 現行憲法は、戦前・戦中に国家神道を強制したことへの反省から、厳格な政教分離を定めていますが、これが自民党案になると、それを骨抜きにする文章を付け加えています。そのことによって、靖国参拝や護国神社、忠魂碑などを教育の場に持ち込んだり、特定の宗教に国家予算を使うことが憲法違反ではなくなり、信教の自由が侵されてしまいます。


はじめに
Q1 憲法と法律とはどう違うか?
Q2 日本国憲法の根本にあるものは?
Q3 「公共の福祉に反しない」とは何に反しないこと?
Q4 権利と義務とはワンセット?
Q5 人権が認められるのは「国民」だけ?
Q6 国民主権と象徴天皇制は矛盾では?
Q7 憲法第9条が放棄したのは?
Q8 日本国憲法は押しつけ?
日本の自由民権運動と世界的な人権思想の流れの中で生み出された日本国憲法
日本国憲法と自民党改憲草案の比較


[参考]
自民党日本国憲法改正草案 Q&A(pdf)
大日本国憲法・日本国憲法・自民党憲法改正草案比較表(pdf)
自民党憲法草案の批判のために(リブ・イン・ピース☆9+25)