[リーフレット] 憲法って、とっても大事!
Q7 憲法第9条が放棄したのは?
A7 侵略戦争はもちろん自衛戦争も、一切の軍備も放棄しています

「第9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
 2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」
 このように「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうに」(前文)との決意のもと、9条は武力の保持、武力による威嚇、武力の行使、交戦権――これらすべてを国家として放棄しています。

「自衛権の発動としての戦争も、
又交戦権も放棄したものであります。」
 1946年6月26日、吉田茂首相は衆議院で、「…第九条第二項に於いて一切の軍備と国の交戦権を認めない結果、自衛権の発動としての戦争も、又交戦権も放棄したものであります。従来近年の戦争は多く自衛権の名に於いて戦われたのであります。満州事変然り、大東亜戦争亦然りであります」と答弁し、侵略戦争が「自衛」の名において行われたことに言及し、その反省から一切の戦争も武力も放棄したことを明言しています。
 ところが日本政府は、そもそも違憲である自衛隊を「専守防衛」の名の下に正当化し、カンボジアやハイチなどでのPKO(国連平和維持活動)参加、インド洋・アラビア海やイラク戦争への派遣、「海賊対策」と称したソマリア沖派遣などを行い、憲法解釈変更の積み重ねで自衛隊の活動範囲を広げてきました。アジア近隣諸国への軍事的威嚇行為もエスカレートしています。
 しかしアフガニスタン戦争では多国籍軍艦船への給油、イラクのサマワでは給水活動に限定され、米国の侵略戦争に協力しながらも自衛隊が戦争の前線に赴くことを阻んできたのは9条の存在です。そして「非核三原則」「武器輸出三原則」「集団的自衛権行使の違憲判断」などの形をとりながら、9条は日本の際限のない軍備増強と戦争加担を押しとどめてきたのです。
※専守防衛:自衛隊は、日本の領土・領海・領空を守るための必要最小限の装備・活動にとどめるという考え方。

沖縄には憲法9条はなかった!
 日米安保条約のもとで、沖縄は、日本「復帰」前後にかかわらず、朝鮮戦争、ベトナム戦争、アフガニスタン戦争、イラク戦争などの出撃基地としての役割を果たしました。憲法9条があるもとでとりわけ沖縄には戦時下の苦難を強い続けてきているのです。
 「憲法9条のもとで日本は平和であった、侵略戦争に加担しなかった」とは決して言えません。沖縄では「9条を沖縄へ」というスローガンが掲げられています。これは沖縄には9条が実質的には存在してこなかったのだということを意味しています。

自民党草案では
 自民党草案では、 憲法9条が根本的に変えられてしまいます。「国防軍」の設置が規定され、武力による威嚇と行使を公然と認めています(Q&A)。「自衛のため」だけでなく、米軍と一緒になった軍事行動や国内治安活動など新しい任務が入っています。さらに国防軍への首相の指揮権「軍事審判所」の設置など戦争遂行を前提とした諸規定があり、「領土保全の義務」それへの国民の協力など国民を軍事活動と戦争に動員する規定さえ入っています。戦争が領土紛争から始まったことを考えれば、これらは極めて危険な条項です。
 また、新設された98条では、首相が「緊急事態」を発動できること、「社会秩序の混乱時」には基本的人権が制約され憲法そのものが停止されること、「国内治安活動」=デモの弾圧などに自衛隊を動員できることなどが入っています。


はじめに
Q1 憲法と法律とはどう違うか?
Q2 日本国憲法の根本にあるものは?
Q3 「公共の福祉に反しない」とは何に反しないこと?
Q4 権利と義務とはワンセット?
Q5 人権が認められるのは「国民」だけ?
Q6 国民主権と象徴天皇制は矛盾では?
Q7 憲法第9条が放棄したのは?
Q8 日本国憲法は押しつけ?
日本の自由民権運動と世界的な人権思想の流れの中で生み出された日本国憲法
日本国憲法と自民党改憲草案の比較


[参考]
自民党日本国憲法改正草案 Q&A(pdf)
大日本国憲法・日本国憲法・自民党憲法改正草案比較表(pdf)
自民党憲法草案の批判のために(リブ・イン・ピース☆9+25)