[リーフレット] 憲法って、とっても大事!
Q8 日本国憲法は押しつけ?
A8 平和を求める世界の人々が日本の権力者に押しつけたものです


マッカーサー最高司令官と
昭和天皇(1945.9.27)
 憲法を変えようとする理由として「日本国憲法は米国からの押し付け憲法だ」ということがよく挙げられます。しかし、いったい誰が、誰に、どんなことを押し付けたのでしょうか。

誰が?
 直接的には、マッカーサーを最高司令官とするGHQ(連合軍総司令部)が、日本政府に対して、新しい憲法を作るよう迫りました。GHQはいわゆる「密室の9日間」で作り上げたGHQ案を提示し、これを元に日本国憲法の原案が作られました。
 このGHQ案においては、日本の知識人7名からなる「憲法研究会」が作成した草案が大きな影響を与えていました。(次頁参照)
 GHQは主に米国人で構成されていましたが、米国政府の利害だけを代表していたわけではありません。GHQの上部組織として、極東委員会があります。太平洋戦争に敗北した日本を連合国が占領するに当たり、日本を管理する為の政策機関として設置されました。そこには、アメリカ合衆国・イギリス、ソ連に加え、中国、オーストラリアなど日本の侵略で被害を受けた国々が参加していました。日本軍国主義の復活を阻止しようという被害国の声をGHQは無視できませんでした。つまり日本国憲法は日本が侵略を行った被害国が加害国日本に押しつけたものでもあります。

誰に?
 マッカーサーに新憲法を作るよう要請された幣原(しではら)内閣は、国務大臣の松本烝治(じようじ)を中心とした「憲法問題調査委員会」に憲法問題を一任しました。しかし、この委員会では大日本帝国憲法の原則を根本的に変更しようとは考えていませんでした。そこで出した案も天皇主権を変更するものではありませんでした。GHQが厳しく迫ったのは、天皇を元首とする国のあり方に固執する人々でした。

どんなことを?
 押しつけられたのは「国民主権」「戦争放棄」「基本的人権の尊重」という憲法3原則であり、根本にある「個人の尊重」でした。日本国憲法は、最終的に日本の議会での議論を通じて成立しました。

憲法成立史を理解する上で参考になる映像作品を紹介します。
(※は市販されているものです。他の作品をご覧になりたい方はリブインピースまでご相談下さい。)





※『日本国憲法 誕生』(NHK 2007年 1h30m)憲法研究会草案やGHQと日本政府との攻めぎあいなど憲法制定過程がコンパクトにまとめられている。
※『映画 日本国憲法』(ジャン・ユンカーマン監督 2005年)日本国憲法についてのインタビュー集。9条は二度と戦争をしないという、アジア諸国への証文。
 『憲法はまだか』(NHK 1996年 前編「象徴天皇」・後編「戦争放棄」 各1h30m)敗戦から憲法誕生に至る過程を描いたテレビドラマ。(ジェームス三木原作)
※『昭和天皇 二つの独白録』(1997年 NHKスペシャル)昭和天皇の「独白録」。それは自らの延命のために東京裁判向けに作られた政治文書だった。
 『遅すぎた聖断』(1988年 琉球放送)天皇が敗戦を遅らせたことによって、東京大空襲、長崎・広島原爆投下、沖縄戦など甚大な被害を与えた。
※『在日――歴史編』(1995年 映画)植民地政策がもたらした「在日」の人々の立場から、戦後の歴史を描く。
 『焼け跡から生まれた憲法草案』(NHK 2007年 1h30m)憲法研究会を中心に。

はじめに
Q1 憲法と法律とはどう違うか?
Q2 日本国憲法の根本にあるものは?
Q3 「公共の福祉に反しない」とは何に反しないこと?
Q4 権利と義務とはワンセット?
Q5 人権が認められるのは「国民」だけ?
Q6 国民主権と象徴天皇制は矛盾では?
Q7 憲法第9条が放棄したのは?
Q8 日本国憲法は押しつけ?
日本の自由民権運動と世界的な人権思想の流れの中で生み出された日本国憲法
日本国憲法と自民党改憲草案の比較


[参考]
自民党日本国憲法改正草案 Q&A(pdf)
大日本国憲法・日本国憲法・自民党憲法改正草案比較表(pdf)
自民党憲法草案の批判のために(リブ・イン・ピース☆9+25)