リーフレット [憲法座談会]みんなで考える自民党改憲草案の危険
7.自民党改憲草案の4つのポイント

司会:自民党改憲草案の具体的中身に移りましょう。自民党は改憲をしてどうしようとしているのですか。自民党の改憲の目的は何ですか。

憲法学者:先ほども言ったように、価値観・原理が全く違う憲法です。国民主権を骨抜きにする天皇元首国家=君主が元首の国家、人権よりも国家を守る義務が最優先、平和主義ではなく軍隊をもって自由に戦争できる、そのような憲法です。自民党改憲案は全面にわたっていますが、特に危険な4点を問題にしたいと思います。
第一に 軍隊を保有する 戦争できる。(戦争放棄の否定)
第二に 人権より「公益」が大事。(基本的人権の否定)
第三に 天皇を元首にして国旗・国歌尊重を義務化。(国民主権の否定)
第四に 緊急事態条項で人権停止、首相独裁。(憲法自体の否定)


社会科教員:すでに現憲法のもとで安倍政権は、教育を受ける権利や医療・介護を受ける権利、老後の暮らしのために年金で最低限の生活をする権利、労働する権利などを次々と切り縮め、戦争する国づくり、大資本や国策最優先の政策を続けています。憲法前文に明記された「平和のもとに生きる権利」を奪っているといってもいいでしょう。
 安倍政権は「戦後民主主義」というものに憎悪を抱き、国民を黙らせる必要があると思っています。こういった政策をさらにすすめるためには、今の憲法には権利が多すぎる、国民がつけあがる、権利・権利と言って義務を果たさない、政策が縛られて好きなことができない、だから憲法をかえてしまおうと思っているのです。

二児の母:息子を戦争に行かせたくないとか、ちゃんと働きたいとか、大学に行きたいとか、つけあがっているんでしょうか。生命をはぐくむ海や豊かな森の自然を守りたいとか言うのはわがままなんでしょうか。放射能の危険のない公園で子どもを思いっきり遊ばせたいと思うのは、ぜいたくなんでしょうか。
 もしそうだとしたら、国民がそういうことを我慢して何をしろというのでしょう。

  手引き7

2016年9月1日
リブ・イン・ピース☆9+25


発行に当たって
1. 「自民党憲法改正草案」は憲法ではない
2. 憲法は古いから変えなければならないか
3. 「押しつけ憲法」でなぜ悪い?
4. 押しつけだから無効だとすればどうなる?
5. 憲法は私たちの生活とどうかかわっているの?
6. 憲法があれば足りるか
7. 自民党改憲草案の4つのポイント
8. 人権の根幹──天賦人権説を覆すことはできない
9. 「公共の福祉」から「公益と公の秩序」へ
10. 国民は国のやることに反対してはいけないのか
11.「憲法は国家権力を縛る規範」とは
12.「新しい人権」条文化の危険
13. 家族は助け合わなければならないか
14.「天皇の元首化」はどう問題か?
15. 攻められたら防衛しなければならないので国防軍は必要?
16. 憲法9条を変え「自衛隊」を規定すべきか
17. 沖縄米軍基地は日本を守るためにあるのか
18.「緊急事態条項」は必要か
19. 戒厳令になるとどんなことが起こるか
20.「護憲」運動は保守か、改憲は「改革」か
(補)改憲を目指す人たち