リーフレット [憲法座談会]みんなで考える自民党改憲草案の危険
15.攻められたら防衛しなければならないので国防軍は必要?(手引き)

 憲法9条を変えて戦争ができる国防軍を作り出すという安倍改憲策動の前段として、戦争国家作りが着々と進んできました。日本版NSC、特定秘密保護法制定、武器輸出三原則の事実上の廃止などです。戦争挑発しているのはこのような戦争体制をつくる安倍政権のほうです。

日本版NSC 2013年11月27日
 日本の外交や安全保障に関する政策や国家戦略の司令塔となる国家安全保障会議の創設。米国の国家安全保障会議(National Security Council)をモデルにし日本版てNSCといいます。
 日本版NSCは首相、官房長官、外相、防衛相による「4大臣会合」を定期的に開催し、有事への対処や安全保障の基本方針などを決めるというものです。?
 安倍首相の「積極的平和主義」に基づく安保政策を官邸主導で進めるもので、集団的自衛権行使を容認して日米同盟を強化し、日本が米国の軍事力を補完し米軍と一緒に戦争できる体制をつくるための軍事立法です。

特定秘密の保護に関する法律2014年12月10日
 またそのためには米国との情報共有が不可欠とし、安全保障上秘密性の高い情報を漏えいから防止するためと特定秘密保護法が施行されました。それを漏らしたり、聞き出そうとした人を最高10年の懲役を科すというものです。最大の特徴の一つは何が特定秘密かわからないというところで、これによって、メディアは強い自粛と自主規制を余儀なくされます。安倍政権が何をしているのかわからないうちに戦争準備が進み、国民が巻き込まれていくということになりかねません。

文官統制の破棄閣議決定 2015年3月6日
 自衛隊を指揮する文民統制(シビリアンコントロール)の中の一つとして文官統制があります。文官統制とは、防衛省の官僚(背広組)の補佐をえながら自衛官(制服組)が自衛隊に指示を出すことです。自衛隊(防衛省)内の制約として文官統制がありました。これによって実力行使部隊の権限が強大化して暴走することを阻止してきました。
 しかしそれは、国内に自衛隊がとどまっている限りのことです。この文官統制を外す意味するとこは、自衛隊が海外に出て、米軍とともに本当に戦争をする際に、国内の背広組の統制になど従っていられなくなる、戦場では軍隊の論理を優先しなければ戦争できない、ということだと思います。

武器輸出三原則の事実上の廃止 2014年4月1日
 政府は原則として武器輸出を禁止、例外的に武器輸出を認めてきた「武器輸出三原則」を廃止しました。その代わりに紛らわしい表現「防衛装備移転三原則」が閣議決定され策定されました。武器などの防衛装備の海外への移転を判断するというものです。
 これにより軍事産業が勢いづき、武器の共同開発の推進や先端技術取得などを通して、さらに強大になっていく危険があります。パレスチナへの国際法違反の占領と侵略を続け世界で孤立しているイスラエルへの武器輸出が可能にしたものが今回の武器装備移転三原則です。日本の作った兵器が使用されて多くの人を殺すことになります。
 「防衛装備庁」の新設も盛り込まれました。戦闘機や護衛艦などの防衛装備品の究開発から購入までを一元化し、海外との交渉窓口にもなるとされています。日本の大学はこれまで軍事研究と一線を画すところが多かっただけに、波紋を投げかけています。


  本文15

2016年11月3日
リブ・イン・ピース☆9+25


発行に当たって
1. 「自民党憲法改正草案」は憲法ではない
2. 憲法は古いから変えなければならないか
3. 「押しつけ憲法」でなぜ悪い?
4. 押しつけだから無効だとすればどうなる?
5. 憲法は私たちの生活とどうかかわっているの?
6. 憲法があれば足りるか
7. 自民党改憲草案の4つのポイント
8. 人権の根幹──天賦人権説を覆すことはできない
9. 「公共の福祉」から「公益と公の秩序」へ
10. 国民は国のやることに反対してはいけないのか
11.「憲法は国家権力を縛る規範」とは
12.「新しい人権」条文化の危険
13. 家族は助け合わなければならないか
14.「天皇の元首化」はどう問題か?
15. 攻められたら防衛しなければならないので国防軍は必要?
16. 憲法9条を変え「自衛隊」を規定すべきか
17. 沖縄米軍基地は日本を守るためにあるのか
18.「緊急事態条項」は必要か
19. 戒厳令になるとどんなことが起こるか
20.「護憲」運動は保守か、改憲は「改革」か
(補)改憲を目指す人たち